今年は桜の開花が遅くて、いつ咲くかと思っているうちに、気付けばいつの間にやら桜の季節が終わりかけております。何だか寂しいですなあ。老兵は死せず、ただ散りゆくのみなのです。
モニ明「冒頭から派手に間違っておられるような」
モニ鍋「サヨナラだけが人生だ。この杯を受けてくれ。いつ何時、誰の挑戦でも受ける。何だコノヤロー」
明「ど、どこからアントニオ猪木に!!」
などと阿呆なことを言っている間にも、花は散る。「花は散るから美しい」byアンソニー。春爛漫なのになぜかセンチメンタルな団長モニ鍋なのです。
明「『キャンディキャンディ』まで持ち出されてはセンチメンタルと言わざるを得ませんが、確かに春本番だからこそ、切ない気分になることもあると思います」
なあ。例えばこんな時期に加護亜依ちゃんの芸能界復帰ニュースなんかを見てしまうと、なんかしみじみと切ないなあ。
明「親の離婚とかリストカットとかおっしゃられてますが」
鍋「結局、タバコはなかなかやめんかったみたいですな。禁煙って難しいなあ」
明「そういう問題じゃなーい」
まあこうやって言っていると今ひとつ、真に迫りませんが、なんとなくアンニュイ。喫茶店行こうと思うけれど、あんまりにぎやかな店や、大盛りパワフルなお店はちょっと遠慮したい。ココロ安らかに癒される方向で行きたい。
鍋「子どものころな、叱られたり悩むことがあると、川のほとりに出てなあ」
明「ほうほう」
鍋「涼しい風が抜けて、山や川の景色が目にしみるぐらい鮮やかで優しく感じて、なあ」
明「そしたら、川の中から頭に皿がある、変なもんが出てきて」
鍋「『おんちゃん、相撲取ろう』言うもんやから、はっけよいよいはっけよいよーい♪」
明「いきなりフルテンションやがな。悩みはどこ行った、悩みは」
鍋「相手はしばてんやからな、キュウリ(急に)悩みが消えました」
明「何言っちゃってんのあんた、本当にもう」
◇
さて、癒される場所。今までにもさんざんご報告の通り、高知の喫茶店とは癒される場所ではありますが、今回は特に、自然と触れ合いたい。川か山の近くで、良い風が吹いて、景色が爽やかで、ご飯がおいしければ、こんなアンニュイな気分なんてすぐどっかに消えていきそう。
明「では、参りましょう」
鍋「あるの!?そんな店!!」
明「自分から言い出しといて・・・」
こういう無茶振りがけっこう、問題なく通用するから高知の喫茶店とはすごい実力があるんである。あるわけないと思っていた、そんな癒やしのお店。ありました。
店名「カフェテラスれんげ」は、高知市尾立にある。尾立といえば旧鏡村の手前。具体的にはですね、高知商業高校から北へ行くと、三差路がありますよね。横内のサンプラザの手前です。
明「右へ行くと北環状線・福井方面、左へ行くと鏡方面」
鍋「これを左へ行きます。いわゆる県道6号線」
明「道なりに真っすぐ、鏡川のほとりに出て、しばし行くと高知自動車道の高架が上に見えてきて、その辺りの右手にあるのです」
ちょっと道から中に入っているので、行き過ぎたらまた戻って探してみてください。2階建てのテラスがある、しゃれた建物が見えるはずです。
本当に、なかなかしゃれた建物である。広いオープンテラスには客席が5つほど。真ん前が田園で、ちょっとした山や、小さなほこらを守るクスノキの林。そこを吹き抜ける、鏡川からの風。抜けるような青い空。
明「いいですねえ、爽やかな季節ですし」
鍋「完璧や。いま私は感動している。しばてん出てきたら喜んで相撲取る」
明「まあ、鏡川もこの辺まで来たら、しばてんもまだおるかもしれんですが」
しかし、こんなロケーションの喫茶店、ちょっとないですよ。高知のどこにでもある田園、田舎の風景だが、そこをそのまま、店の一部にしてしまった。借景とか、幽玄とか、そういった日本的な美的感覚を感じます。
一方で建物は、木材をふんだんに使ったカントリー風。かわいらしい置物や、一つ一つ違うイスとテーブルなど、くつろげる趣向になっている。さっそく、4種のモーニングから悩みつつ、最もベーシックなトーストモーニング(680円)を注文した。
明「わああ、ボリュームある!!」
鍋「これもまた胸がすく、そんな感じするなあ」
厚切りのトースト2枚とサラダ、パスタ、野菜のポタージュ、そしてスパニッシュオムレツ。個人的にはこのオムレツ、何か賞をあげたいと思うぐらいおいしい。何かあるでしょう、日本鶏卵錦糸卵特別賞みたいなの。
明「ありません。ていうか卵がかぶってますし」
でもな、正直今までのスパニッシュオムレツに対する偏見をぬぐい去ってしまったほどにうまいんじゃ。ふわふわ、ぷりぷりの卵と、滋味深い挽き肉、ほくほくした野菜。これはうまい。
明「他のもおいしくて、何よりボリュームと満足度が高いです」
この皿、幅40センチぐらいあるもんな。「女性のお客さんには、これでお昼ご飯代わりになる、と好評です」と、お店の奥さん、市来(いちき)起子さんが笑顔で教えてくれた。モーニングは12時まで。ブランチにと、午前中にゆっくり来店する女性グループが多いそうだ。
旦那さんの悦男さんは全国を飛び回る仕事で、なんと18年にわたって単身赴任。夫婦が別れ別れの生活だったという。だから、悦男さんが定年退職したら「癒される場所で、2人ゆっくり過ごそうと決めていた」。泣かせる話です。
鍋「わしも退職後、癒されたいな」
明「もちろん奥さんと一緒に、ですよね?」
鍋「(複雑かつ満面の笑み)」
明「・・・」
そんな2人にとって理想の地、尾立が見つかった。「山も川も近くて、空は高くて。これからの季節は、目の前が一面、緑なんですよ。春先には山桜が咲いて、秋には紅葉・・・もう本当に惚れ込んでいます」。起子さんは輝く瞳で、この地の良さを語る。
「どうせなら、癒やしをおすそわけしよう」。2人でそう考えて、終の棲家は住宅権店舗にした。好きなものを散りばめ、起子さんの家庭料理と最高のロケーションを味わってもらおう。
そうして、お店をオープンしたのは昨年5月。まだ、できたてほやほやです。にもかかわらず、クチコミがクチコミを呼び、満席になる日もあるという。モーニングだけでなく、4種類のお総菜がメインの日替わりランチ(980円)も好評だ。
食材の野菜は、ほとんどが地元の畑で採れたもの。「ホウレンソウとかね、ここならではのおいしさがあるんです」と起子さん。
これからの季節、ほとんどのお客さんは外に座る。風のにおい、日差しの温度、空気の色。それらすべてがごちそうであり、癒やしだ。そして、それを共有する時間こそが得難いものだ。
それでもだまだ、楽しみ方は無限。「もっと楽しいことをしたい。テラスで結婚式をしてもらったり、生バンドの演奏とか、夜もイルミネーションをつけるとか・・・」と、次々にアイデアが生まれるという。
取材の帰りに、テラスに出て写真を撮る。光の加減がいいのか、絵になる風景ばかりだ。外に出てきた悦男さんが「本当にいいところでしょう?」と声を掛けてくれた。とてもいい笑顔で。
ご夫婦とも、本当にここに惚れ込んでいらっしゃるんやな。だからこそ、それをみんなで共有したい、と心から思っていらっしゃる。場所の素晴らしさもさることながら、そんなお二人の人柄にも癒される、そんな店だ。
何もかもが手の届くところにあり、何もかもを楽しむことができる。そんな地に足の着いた幸福にふれたくなったら、ここへどうぞ。空と風、そしてとびきりのホスピタリティがお迎えします。
【お店データ】
カフェテラスれんげ
高知市尾立178-1
088-840-3465
営業時間 9~17時 月曜日定休
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